廃アルカリとは?産業廃棄物の定義・排出状況・処理方法・許可制度まで行政書士が詳しく解説

事業活動に伴って発生する廃棄物のうち、法令で定められた20種類が「産業廃棄物」に該当します。その中でも【廃アルカリ(はいあるかり)】は、アルカリ性の廃液を主とする産業廃棄物で、腐食性・反応性が高く、適切な管理が求められる危険性のある廃棄物のひとつです。
本記事では、廃アルカリの定義、該当例、全国的な排出量や処理方法、さらには収集運搬業に必要な許可制度まで、行政書士の視点で詳しく解説いたします。

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廃アルカリとは?産業廃棄物における定義と特徴

廃アルカリとは、事業活動に伴って排出されるアルカリ性(pHが高い)の廃液のことをいいます。中和処理をする場合に生ずる沈でん物は汚泥として取り扱います。
液状かつ腐食性を持つことから、管理の難しさという点で特に注意が必要な廃棄物といえます。
腐食性があり、皮膚や粘膜への刺激、金属やコンクリートへの損傷を引き起こすおそれがあるため、保管・運搬・処分の際には厳格な対応が必要です。

廃アルカリに該当する具体例:

  • 工場などで使用された苛性ソーダを含む洗浄液
  • 製紙工程や化学反応後に残るアルカリ性副生成物
  • 排水処理施設で発生するpH調整用のアルカリ廃液
  • アンモニア水や石灰水などを含む廃液

廃アルカリの排出量と処理法(令和4年データ)

環境省「産業廃棄物排出・処理状況調査報告書(令和4年速報値)」によると、廃アルカリの全国年間排出量は2,275千トンです。

処理方法の内訳:

  • 再生利用:19.8%
  • 減量化:78.4%
  • 最終処分:1.8%

廃アルカリは、pH調整により比較的安全な形にできるケースもありますが、処理方法を誤ると二次被害につながるおそれがあるため、慎重な対応が求められます。

排出業種別の内訳

廃アルカリは、アルカリ性薬品を使用するさまざまな事業所から排出されています。

  1. 化学工業:1,143千トン
  2. 電子部品・デバイス・電子回路製造業:245千トン
  3. 鉄鋼業:72千トン

廃アルカリの収集運搬には許可が必要です

廃アルカリを他人からの委託により運搬する場合は「産業廃棄物収集運搬業」の許可が必要です。
液体かつ腐食性を持つ廃アルカリを扱う際には、車両や容器が耐薬品性・密閉構造であることが求められるほか、運搬中の事故防止策も重要です。

許可取得の主な要件:

  • 耐腐食性・密閉性を備えた運搬具や運搬車両の確保
  • 講習会修了者(収集運搬課程)の配置
  • 適切な事務所・人員体制の整備
  • 欠格要件の非該当(破産・前科・処分歴など)

特に廃アルカリの場合は、pH管理や漏洩対策に関する記載が申請書類の中で詳細に求められることがあるため、慎重な準備が必要です。

許可取得の流れ(新規申請):

  1. 運搬地域・対象物の確認と講習受講
  2. 必要書類の収集(車検証、住民票、履歴事項全部証明書など)
  3. 申請書類の作成・提出(任意書式は自治体ごとに異なります)
  4. 行政審査(通常約2カ月)
  5. 許可証の交付・業務の開始

※申請書類に不備があると、補正指示や不許可のリスクもあるため、行政書士などの専門家によるチェックを受けることが望ましいです。

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投稿者のプロフィール

小川祐樹
神奈川県横須賀市出身・在住の行政書士。
中学受験、高校中退、大検取得、大学卒業を経てホームセンター従業員に。ホームセンターで勤務しながら、完全独学で行政書士試験に合格後、即独立。
家族は妻と娘とヒョウモントカゲモドキ。
行政書士以外の取得資格は、登録販売者、危険物取扱者(乙4)、グリーンアドバイザー等。