廃酸とは?産業廃棄物の定義・排出状況・処理方法・許可制度まで行政書士が詳しく解説

事業活動に伴って排出される廃棄物のうち、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)により指定された20種類が「産業廃棄物」に分類されます。
その中でも【廃酸(はいさん)】は、酸性の液体を中心とした産業廃棄物であり、化学的な危険性や腐食性を有しているため、厳重な取り扱いが求められる廃棄物のひとつです。
本記事では、廃酸の定義や具体例、排出状況、処理方法、さらには廃酸を運搬するために必要な「産業廃棄物収集運搬業許可制度」について、行政書士の視点から詳しく解説いたします。

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廃酸とは?産業廃棄物における定義と特徴

廃酸とは、事業活動にともなって排出される酸性の液体、または酸性の性質を持つ化学廃液を指します。中和処理した場合に生ずる沈殿物は、汚泥として取り扱います。
廃酸はpH値が低く、金属やコンクリートなどの腐食、皮膚や呼吸器への刺激性があるため、保管・運搬・処分において特に厳格な管理が必要です。

廃酸に該当する具体例:
以下のような廃液が「廃酸」に該当します。

  • 表面処理工程で使われた硫酸・塩酸・硝酸の使用済み液
  • 金属洗浄で使用された酸性洗浄液
  • 化学製造業の反応工程で生じた副産的な酸性液体

廃酸の排出量と処理方法(令和4年データ)

環境省の「産業廃棄物排出・処理状況報告書(令和4年速報値)」によれば、廃酸の全国年間排出量は2,754千トンで産業廃棄物全体の0.7%です。

処理方法の内訳:

  • 再生利用:28.7%
  • 減量化:69.7%
  • 最終処分:1.6%

廃酸廃液はそのまま環境中に排出すれば、水質汚濁や生態系への甚大な悪影響をもたらしてしまうため、適切な処理が求められます。

排出業種別の内訳

廃酸は、化学的処理や金属加工など酸を利用する工程がある業種から排出されます。代表的な排出業種は以下のとおりです。(令和4年速報値)

  1. 燃料・たばこ・飼料製造業:707千トン
  2. 化学工業:516千トン
  3. 電子部品・デバイス・電子回路製造業:487千トン

廃酸の収集運搬には許可が必要です

廃酸を他人から委託を受けて運搬するには、「産業廃棄物収集運搬許可」が必須です。
特に廃酸は、腐食性・漏洩リスク・化学的危険性が高いため、許可の取得にあたっては車両や容器に特別な条件が課される場合があります。

許可取得の主な要件:

  • 廃酸対応の耐腐食性容器・専用車両などの確保
  • 産業廃棄物収集運搬課程講習会の受講
  • 事務所・人員体制の整備
  • 欠格要件の非該当(法令違反歴など)

※運搬先が複数の都道府県にまたがる場合は、それぞれの都道府県での許可取得が必要です。

許可取得の流れ(新規申請):

  1. 申請に必要な要件の確認(車両、講習、体制など)
  2. 必要書類の準備(履歴事項全部証明書、住民票、車検証など)
  3. 申請書類の作成・提出(任意様式の書類は自治体により書式が異なる場合あり)
  4. 自治体による審査(2カ月程度)
  5. 許可証の交付・事業開始

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投稿者のプロフィール

小川祐樹
神奈川県横須賀市出身・在住の行政書士。
中学受験、高校中退、大検取得、大学卒業を経てホームセンター従業員に。ホームセンターで勤務しながら、完全独学で行政書士試験に合格後、即独立。
家族は妻と娘とヒョウモントカゲモドキ。
行政書士以外の取得資格は、登録販売者、危険物取扱者(乙4)、グリーンアドバイザー等。